

少しマイペースなママ薬、Sさん。
患者さんからホンネを引き出す
彼女の自然体なキャラクターから学べることは多いはず!
早速インタビューしてみましょう。
ヤング薬剤師さんね!私も昔に戻りたくなっちゃうわ〜(笑)
いえいえ、そんなことないです!(笑)よろしくお願いいたします。
最初に、“かかりつけ薬剤師指導料”の話を聞いたときは、どう思いましたか?
もうびっくり!でした。同意を取れるのかな?私でいいのかな?とかなり不安でした。そもそも、研修で行った薬局で1日30〜40枚くらい服薬指導し続けていて、かなり参っていたので(苦笑)
かなり自信がなかったのね(涙)同僚の、かかりつけ薬剤師さんの反応はどうでしたか?
後輩の女の子とかとは「頑張ろうね。私たちも戦っていかなきゃいけない時代に入ったんだね」とか励ましあいながら(笑)みんなそれぞれ不安だったと思います。
当てはまりそうな患者さんの具体的な顔が浮かびましたか?
地元の小さな薬局なので、始まる前は「この人なら必要だろうな」とは思いましたけど、“かかりつけ薬剤師”なんてとてもとても!患者さんのためを思うと、絶対に先輩がやった方がいいと思ってましたし、自分がもし難しいことを相談されても対応できるのかな、と。とにかく逃げたかったんです。

かなり不安な始まりだったみたいね…(笑)スタート直後はどうでしたか?
最初は声かけがプレッシャーでした。あとは、指導料の話をした時に患者さんに突っ込まれないか、いつもドキドキしていました。あ、そもそも私、服薬指導がすごく苦手だったんです。
あら、そうなのかしら?なんだかうまくこなしそうだけれど。
研修で服薬指導だけやってた時期があって。毎日30~40人くらいですかね。大きい病院の目の前で大変だったんです。できれば裏でピッキングだけしてたかったんですけど(笑)ですから、新しい制度の説明のハードルが高かったです。
同意が取れた患者さんの年齢・性別とは?
同意を取れた方は、薬局の場所柄もあって、ほとんど高齢者の方ですね。「あなた、ウチの孫にそっくりだわ!」と可愛がられたり(?)、とても和やかな会話が多いです(笑)
最初は心配していたんですけど、ほとんど断られることなく同意してもらうことができています。とにかく、「担当させていただきます。」、メリットはこういうことです、とシンプルに伝えていました。
最初の不安に反して結果が出たのね!すごい!
私、学生時代はアルバイトで塾講師やっていたんです。その時の経験も活きていて、人にわかりやすく順序立てて説明することが意外と得意だったのかもしれません。苦手だったのは、自分からタイミングを見て勧めること、だったのかも。辛かった研修の時の服薬指導も、今となっては体験してよかったな、と思っています。
かかりつけ薬剤師になって、変わったことってある?
やっぱり2回目3回目と服薬指導すると、患者さんのことは記憶しますね。前回の薬歴を見なくても話せます。複数の処方元の処方箋が集まると把握できるじゃないですか。なので服薬指導に、やりがいが出たように思います。
患者さんとの距離が縮まったことで、発見はあった?
糖尿病の患者さんがいるんですが、「先生には言わないでね、実は甘いものやめられなくてさ」と雑談の中でおっしゃられて、それはダメです!と指導することがありましたね。やはり、みなさん先生には言いづらいみたい。ご夫婦でいらっしゃる方がいて、お互いの悪口を交互に聞くケースもあります。お互い様だなあ、と思ったり(笑)。お薬を袋に詰めていたり、会計する間に、よくコミュニケーションすることが増えました。私はこんなキャラなので、薬の話より世間話が多いですね。本格的な薬の問い合わせが来た時は、先輩や薬局長に聞いたり、すぐ調べたりしています。
かかりつけ薬剤師になって、大変なことはある?
担当の患者さんの服薬指導が続いちゃうときがどうしてもあって。普段は周りの人がフォローしてくれるんですけど、お昼休みに入る前だと、なかなか休憩に行けなかったり、逆に休憩中に呼ばれたり、なんてことがありますね。ただ、そんなに負担には感じていないです。
地域貢献活動などは体験した?
お薬相談のイベントなど企画しました。薬局の外なので、これもドキドキです(笑)急にOTCの箱を出されて質問されたりすると、調剤オンリーの私は「なんじゃこりゃ!?」と混乱しました。すぐに調べて対応しましたが、これもいい経験だったなあ。

これから“かかりつけ薬剤師”になる人に向けて、伝えたいことはありますか?
え!私からアドバイスなんて、とてもとても。。。あるとしたら、今も自信はなかなかつかないですが、チャレンジしてよかったな、と思えることが増えました。うん、仕事が楽しくなりました。最初にも言ったんですけど、私、服薬指導より調剤、監査が好きだったんです。以前研修で行った薬局は、作業だったんだと思います。服薬指導ロボットだったんです(笑)。かかりつけ薬剤師になってから、「Sさんの顔を見ると安心するよ」と言ってもらったり、「Sさんが勧めるなら、全部変えちゃっていいよ」とジェネリックに変更してもらったり。信頼関係が作れることで、患者さんから掛けられる言葉も変わったし、服薬指導もうまくいくようになりましたね。ロボットから人間らしいコミュニケーションを取れるようになったので、いい体験ができていると思います!
何か勉強したり、やった方が良いことはある?
さっき言われたように「任せるよ」と言われるようになったことが嬉しくて、勉強量は増えました。特殊な疾患の患者さんの担当になったら、すぐに調べたり。今までも問い合わせがあったらもちろん調べていましたが、自発的に動くことは、今まではなかったことです。なので、自然と勉強するようになるので、飛び込んでみればなんとかなると思います(笑)

最初は自信がなかったSさん。謙遜していたけど、本当に充実した薬剤師ライフになったようで、聞いている私もなんだか嬉しくなっちゃったわ☆ “かかりつけ薬剤師”の世界に飛び込んでみると新しい発見がたくさん見つかるかも!?